報告「広島市で発生した土砂災害をめぐって」

広島市で発生した土砂災害をめぐって

会長 沖田一彦

 

 本年8月20日未明,広島市安佐南区・安佐北区において大雨による大規模な土砂災害が発生しました。この原稿を書いている9月20日現在,死者74名と発表されており(朝日新聞,9月20日付朝刊),この被害がいかに甚大なものであったかが分かります。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りしますとともに,被害を受けられた多くの方々に,心よりお見舞い申し上げます。

 報道されていますように,災害発生から一ケ月以上経った今も,多くの方が避難生活を続けられています。また,自宅に戻られた方々も,ボランティアの協力を得ながら土砂の除去や壊れた家屋の修復にあたっておられます。広島県理学療法士会(以下,当会)としては,被災された方々の復興の一助になればと,9月13日に開催された常任理事会での審議を経て,中国新聞社を通し義援金を送らせていただきました。

 当会会員の被災についても,事務局から各支部を通じて調査しました結果,家屋の損壊等の被害を受けた方が5名おられることが分かりました(9月10日現在)。把握している限り,亡くなった方や怪我をされた方がおられなかったのは不幸中の幸いであったとはいえ,これらの会員の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。被災された会員の皆さまには,すでに当会からお見舞い金を支給させていただきました。また,日本理学療法士協会(以下,協会)にも報告しております。

 さて,今回のような災害を想定して当会では,過去にお知らせしましたように,平成25年2月に広島県と「災害時公衆衛生チーム」(以下,公衆衛生チーム)に加わる協定を結びました。その後,あの東日本大震災を機に結成された大規模災害リハビリテーション(以下,リハ)支援関連団体協議会(以下,JRAT)の研修会に参加し,本年5月には当会独自の研修会も開催していました。今回の土砂災害にあたっては,発生翌日には当会の公衆衛生チーム構成員とJRATコーディネーターである梶村政司・協会理事と緊急会議を開催し,8月23日には県庁担当者らとともに避難所の視察を行いました(図1)。また,FAXで公衆衛生チームへの参加協力を求めた結果,70名以上の会員から応募があり,胸が熱くなりました。実際の活動は,広島県地域リハ広域支援センター(以下,センター)とその指定・協力施設の療法士が中心になり「広島市被災地リハ支援班」として行われていますが,当会にも協力依頼があり, 9月11日〜19日の期間に会員5名を派遣しています。

 私も9月11日に梶村協会理事とともに5カ所の避難所の支援状況を視察してきました(図2)。この時点では,一部の高齢者を除き,避難所で被災者の姿を見かけることはほとんどありませんでした。日中は避難所から自宅に戻り,自宅とその周辺の復興にあたっておられるからです。特筆すべきは,安佐南区緑井の避難所となっている当会会員の高橋真氏(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)に佐東公民館でお会いできたことです(図3)。新聞報道でご存知の方も多いと思いますが,氏は自宅が半壊し自らも避難所生活を送りながら,避難者の不活動によるエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の予防のための体操を,自主的に進めていました(中国新聞,9月2日付朝刊)。大変な状況であるのに,前向きで明るく,かつ専門職の視点から支援のあり方についてのお話しを真摯に聞かせていただき,頭が下がる思いでした。

 支援は今後も継続される予定で,センターから依頼があり次第,随時応募していただいた会員の皆様に依頼させていただきますので,ご協力をよろしくお願い申し上げます。当会は,今回の災害を契機として,今後とも災害リハについての研修を強く推進していく所存です。皆様には,どうかこの点をご理解いただき,次の研修会にはより多くの会員が参加していただくことをお願い致します。最後になりましたが,災害発生当日ただちにお電話で会員の被災状況について報告をご指示いただきました協会の半田一登会長と事務局担当者様,視察の実施や支援のあり方についてリードしていただきました梶村協会理事様,義援金を申し出ていただきまた福島県理学療法士会様,またご支援の申し出をいただきました三重県理学療法士会や他県の病院・施設様に,当会を代表して深くお礼申し上げますとともに,混乱の中,皆様すべてに十分な対応ができなかったことをお詫び致します。

 

 

図1.公衆衛生チームとしての避難所視察(佐東公民館)

 

 

図2.支援活動中の坂口暁洋理事(旧・広島共立病院)

 

 

図3.被災した会員・高橋真氏からの聞き取り(佐東公民館)

 

主催者
広島県理学療法士会
受講対象者
分類
事務連絡・その他
地域
その他 該当なし
ページトップ